LAGOON BREWERY

潟のほとりの小さな酒蔵から


新潟県の北部に「福島潟」という名の潟があります。
福島潟は湖面に雄大な五頭連峰映し出四季折々の日本の原風景を今に残す、美しい水辺です。「日本の自然百選」に選ばれるほどの自然の宝庫で、ハクチョウはもちろん、天然記念物であるオオヒシクイの日本一の飛来地でもあり、多様な動植物の命を育む場所になっています。
そんな福島潟のほとりに、2021年、小さな小さな日本酒蔵をつくることになりました。


長きにわたり、日本酒の製造免許を新規で取得することは法的な要件から実質的に不可能となっていました。もし新規参入したいとなれば既存の酒蔵を買収するしかなく、そのハードルは極めて高い。そのため、日本酒業界では新規参入がほぼない状態が続いており、業界の持続的な発展にとってそれは決してポジティブなことではありません。


日本酒は、地域の自然や文化の豊かさを表す、まさに國酒です。

海の向こうでは”SAKE”と呼ばれ、少しずつ認知度を上げている日本酒ですが、一方の国内では楽観できる未来が待っているわけではなく、苦しんでいる酒蔵が多いのが現状です。

そんな日本酒が低迷を乗り越え、もっと多くの人々を魅了するものとなるためには、熱意ある者が続々と新規参入し、クオリティを担保しながら多様な日本酒(もしくはSAKE)を生み出していくカルチャーが必要ではないかと思います。


そんななか、2021年春、条件付きではありますがついに日本酒の製造免許が新規で取得できるような規制緩和がありました。その条件とは「海外への輸出用の日本酒に限る」というものです。

条件付きではありますが、これは大きな一歩です。

新規参入の門戸が開かれました。

国もついに腹を決めたのだと、感激しました。

同時に、酒づくりに対する想いが極まったのを機に、一念発起、小さな日本酒蔵を新たに立ち上げることを決心しました。


しかし、国内での評価なくして海外でうまくいくとは思っていません。

そこで「その他の醸造酒」という酒類の製造免許に注目しました。この免許では、日本酒同様に米と米麹を原料とする濁り酒や、日本酒づくりの工程の中で原料や製法に創意工夫を凝らしたユニークで多様なSAKEをつくることができ、無限の可能性を持っています。

私たちは、日本酒をベースとした酒づくり、つまり<米麹を自らつくり><米や米麹を主な発酵原料とすること>を大前提として、国内向けには「その他の醸造酒」にカテゴライズされるSAKEを、海外向けにはそれに加えて日本酒を、それぞれ展開しています。


潟のほとりの酒蔵なので「LAGOON BREWERY」。

潟という場所を選んだのは、それが多様なものを育む場所の象徴だと思うからです。

生物の多様性を育む潟で、多様なSAKEが育まれ、渡り鳥のように日本中・世界中へ羽ばたくのです。

こうした想いから、銘柄も「翔空」と名付けました。

LAGOON BREWERYでは『感激できる、多様なおいしさ』をモットーに、”極小規模”と”持続可能性”にもこだわってSAKEを醸します。

その結果、湖面に水紋がかたどられるように小さくても波を起こし、いつかSAKEが世界の共通言語となることに貢献できたら、もう何も言うことはありません。


いかがですか。

ご一緒に、波に乗りませんか。